
「戦後80年 くまもと平和ミュージアム企画展」が8月19日、熊本県立美術館分館(熊本市中央区千葉城町)で始まった。主催は一般社団法人「くまもと戦争と平和のミュージアム設立準備会」。
戦後80年を迎えるに当たり、戦争の記憶を風化させないことを目的に企画。「戦時下の市民の暮らしと文化~記憶を未来へ 平和のバトン~」をテーマに、同法人理事の上村真理子さんが収集した約5000点の戦時資料から選んだ150~200点を中心に展示する。
会場では、熊本市動植物園で飼育されていたインド象「エリー」が戦時中に軍の命令で殺処分された史実を紹介する特別展示も用意。エリーの遺骨や当時の資料をはじめ、戦時下の子どもの教科書や宿題、生活物資の統制を呼びかけるポスターなども並ぶ。
日本赤十字社発祥の地・熊本を紹介するコーナーを設けるほか、健軍飛行場関連の資料、熊本大空襲を伝えるパネル、義烈空挺(くうてい)隊の寄せ書きなども展示。併設する「交流と平和学習ルーム」では、戦争体験者の紙芝居や絵本の読み聞かせを行い、平和大使として活動する小中高生の取り組みを日替わりで紹介している。
同法人理事長の小山和作さんは「戦争を体験した世代が少なくなり、関心を持たない人も増えている。今回の展示が、戦争を自らの問題として考えるきっかけになれば」と期待を込める。
開館時間は9時30分~18時30分(土曜・日曜・祝日は17時15分まで)。月曜休館。8月31日まで。