
戦後80年を迎える節目に合わせた「戦後80年人権啓発講演会」が8月20日、熊本城ホール(熊本市中央区桜町)で開かれた。主催は熊本市、熊本市人権啓発市民協議会。
当日は協議会メンバーや行政関係者、一般参加者ら約600人が来場。2部構成で、1部では県立必由館高校地域創生同好会の生徒3人が「当たり前じゃない日常~高校生の私たちが伝えたいこと~」をテーマに、広島での平和学習の経験や、戦時中に生活の基盤となった隣保組織についての学びを発表した。
2部の講演会には、熊本市出身のノンフィクション作家・梯久美子さんが登壇。「戦争とアンパンマン~やなせたかしからのメッセージ~」と題して講演した。故やなせたかしさんが飢えに苦しんだ戦争体験から「アンパンマン」を生み出した背景や、文芸誌「詩とメルヘン」で共に仕事をした際の人柄などを紹介し、平和の尊さを伝えた。
会場外では、米国従軍カメラマンの故ジョー・オダネルさんによる写真展も開催。「焼き場に立つ少年」をはじめ、戦争の悲惨さを伝える写真が展示された。
梯さんは「戦争は人権を脅かし、命さえ奪う。一人の力は微力でも無力ではない。今、自分に何ができるかを考えるきっかけにしてほしい」と来場者に呼びかけた。