白川流域住民を対象に、平常時から災害への備えを促し、危機意識の啓発を図るイベント「白川水防災体験」が10月26日、白川橋左岸緑地(熊本市中央区本山)で開催された。主催は国土交通省熊本河川国道事務所・阿蘇砂防事務所、熊本県、熊本市で構成する水防災行事実行委員会。
同イベントは2005(平成17)年から行っているが、今年8月の記録的大雨の影響を受け、行政だけでなく流域内の企業や住民が一体となって水災害を減らす「流域治水」を意識した内容を強化したという。当日は、会場内に設けた展示や体験ブースやステージでの講演、救助訓練の実演を目当てに家族連れなど約500人が訪れた。
開会式の冒頭で、同実行委員会の和田賢哉委員長は「8月の豪雨で熊本も大きな被害を受けた。復興に向けてさらに力を入れていくが、地域の防災力向上のために、まずは自分自身が水防災について考えるきっかけにしてもらえれば」とあいさつした。
体験コーナーでは、水圧を再現した浸水ドア体験や、降雨量の違いを体験できる降雨体験、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を使った洪水疑似体験、救急法・救命手当体験、河川などの現場で使われる建設機械に同乗する体験、Eボート避難体験を行った。
展示コーナーでは、地域の防災活動を紹介したほか、土砂災害、浸水害、洪水災害から家族の命を守るための情報「キキクル(危険度分布)」などを紹介する熊本地方気象台コーナーや、砂防ダム模型の展示を行った。
ステージでは、「6.26水害」に遭った住民による体験談話や、防災を題材にした国無形民俗文化財「髙森にわか」の上演が行われた。
熊本市西消防署員による水難者救助訓練実演のほか、小島校区まちづくり委員会の協力の下、炊き出しも行った。
親子で参加した小学3年の久保田日彩さんはどんな仕組みになっているのか興味があり、ショベルカーに初めて乗った。レバーがいくつもあって操作が難しかったが楽しかった」と話した。