熊本市青年会館ホール(中央区出水2)で6月12日、映画「のさりの島」上映会が行われる。
熊本・天草を舞台にした同作品は昨年5月に封を切り、全国の映画館で公開。有志による地域上映会も全国各地で続いている。熊本市内では4月に川尻公会堂(南区川尻4)で開き、今回が2回目となる。
映画はオレオレ詐欺の旅を続ける若い男が天草のシャッター商店街に流れ着く。商店街で楽器店を営む高齢の女性と出会い始まった奇妙な生活。その土地に暮らす重みと、人のつながり、心の交流を描く。タイトルの「のさり」は、いいこともそうでないことも今ある全ての境遇は天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという天草の言葉だという。
天草出身の放送作家で京都芸術大学副学長の小山薫堂さんがプロデューサーを務め、同大教授の山本起也さんが監督・脚本を手掛ける。主演の若者を演じる藤原季節さんは、第13回TAMA映画賞「最優秀新進男優賞」を受賞。高齢の女性役は、同作が遺作となった原知佐子さん。
山本起也監督は「熊本の天草に流れ着いたオレオレ詐欺の男が、孫を装い電話に出たおばあちゃんからお金を巻き上げようとしたところ、本当の孫にされてしまう。そんな現代のおとぎ話が『あるかもしれんばい』と思えてくるのは、熊本に流れる『のさり』の精神がなせる技かもしれない。多くの人と上映会で会えるのを楽しみにしている」と話す。
開催時間は10時~・14時~。料金は1,700円。定員は100人(事前申込制)。各会終了後、山本監督のトークショーがある。