「ある春のための上映会」が11月4日、益城町交流情報センター「ミナテラス」(益城町木山)で行われる。
東日本震災のことを振り返りながら、自分自身の命や周囲の大切な命、共に?きることについて考えてもらうのが目的。大川小学校を訪ねた時につながりができ、熊本県内での上映会を野尻明子さんが企画した。その話を聞いた益城町にゆかりのある熊本学園大学4年の森崇さん、吉山昇太さん、熊本県立大学4年の坂本昂陽さんが「益城町でも上映会を開きたい」と実行委員会を立ち上げた。3人は2018(平成30)年1月、高校1年生の時、「東北スタディーツアー」で映画の舞台となる宮城県石巻市を訪れ、そのことがきっかけで今回の実行委員会を立ち上げたという。
映画は、東日本大震災の遺族自らが2つの手法で描く「故郷」と「災害」がテーマで、「春を重ねて」「あなたの瞳に話せたら」の2本立て。
「春を重ねて」は、震災直後の宮城県石巻市大川地区を舞台にしたフィクション。震災で妹を亡くした14歳の少女の内面を見つめた作品で、監督自身の体験が重ねられている。キャストやエキストラには石巻市の俳優や大川地区の住民が多数出演する。
「あなたの瞳に話せたら」は、児童・教職員84人が犠牲になった大川小学校にまつわるドキュメンタリー。震災から8年半が過ぎた2019年12月に撮影。友人や家族を亡くした当時の子どもたちが、あれから何を感じ、どのように生きてきたかを、それぞれが故人に宛てた手紙を織り交ぜながら震災と向き合う作品。
トークイベントには、同市出身の佐藤そのみ監督、監督の父親で、「大川伝承の会」を立ち上げ、さまざまな活動を行っている佐藤敏郎さんが登壇する。2人は東日本大震災の時、大川小学校に通っていたそのみさんの2歳年下だった妹を亡くしている。
実行委員長の森さんは「東北スタディーツアーに参加したのがきっかけで、佐藤親子とご縁を頂いた。佐藤そのみさんが映画を製作したと聞いて、大学生でもできることはないか、被災した益城町でできることはないかと考え今回の上映会を企画した。震災から日がたっているからこそ、あの時の思いを風化させないよう、映画を通して次の世代につなげていければ」と話す。
開催時間は15時~。入場無料。定員は100人。上映終了後、佐藤監督、佐藤敏郎さんのトークショーを予定。