
熊本市の新庁舎整備を契機とした「まちづくりシンポジウム」が7月19日、熊本城ホール(熊本市中央区桜町)シビックホールで開催された。主催は熊本市。
シンポジウムは3部構成。当日は、中心市街地の将来像や都市の魅力発信をテーマに都市政策や観光、民間連携などの分野の有識者が登壇。約560人が来場した。市民参加型の座談会の取り組み紹介をパネルで紹介するなど、行政のこれまでのまちづくりプロセスを示す展示も行った。
1部の基調講演は、国吉直行横浜市立大学客員教授が講師を務めた。「個性と活力にあふれたまちづくりを目指して」と題し、自立型都市を目指した横浜市の取り組みを紹介。「歩行者優先のまちづくり」「伝統文化と現代都市の両立」などの視点を説明した。
2部は「市民に愛され、世界に選ばれるまちを目指して」をテーマにパネルディスカッションを行った。登壇したのは、国吉教授と高島宗一郎福岡市長、大西一史熊本市長の3人。コーディネーターは熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センターの星野裕司教授。福岡市のまちづくりについて、高島市長は「ストーリーづくりが重要。エリア単位で民間主導の開発を進めてきた」と説明。「熊本市は渋滞などの交通課題をどう変えていくかが鍵」と話した。
3部では、「熊本の魅力と可能性」をテーマに、さまざまな立場からの意見が交わされた。登壇したのは、クルーズ観光を展開する「シークルーズ」(上天草市)の瀬崎公介社長、SNSを活用して地域を発信するブロガー・けんさむさん、日本航空熊本支店の尾道早織支店長、大西市長。進行は星野教授が担当した。
官民連携による観光開発事例を紹介した瀬崎社長は「熊本城だけに依存しない多様な観光資源が必要」と訴えた。けんさむさんは「今ある資源の再発見が鍵」として夜市や地域イベントの盛り上がりに言及。尾道支店長は熊本城と周辺エリアの活用案を提案した。
大西市長は「今回のシンポジウムが、新たなまちづくりのキックオフになる。多様な視点と連携が、希望ある都市をつくる」と話す。