出張専門の絵本店「モフbooks」が10月に移動販売車を導入し、店舗や施設駐車場等での販売を始めた。
店主の吉田美樹さんは、司書として働きながら「絵本をもっと知って、楽しんでほしい」という思いから出張専門の絵本屋を始めた。初めは店を構えていたが、来店を待つのではなく必要とする人へ絵本を届けたい思いから出張販売に移行した。「一冊でも多く絵本と出合ってほしいと思い、移動販売車を導入した。行き先の来客層に合わせて販売する絵本を変え、子ども自身が読んで楽しむだけではなく、大人が読んで楽しくなったり子どもに読み聞かせてあげたくなったりするような絵本もそろえている」と話す。
販売に加え、毎年クリスマスには、熊本県内の児童養護施設に、寄付金で購入した絵本を贈るプロジェクト「BOOKサンタ」も行っている。施設への寄贈ではなく、子どもたち一人一人に贈っている。年齢や性別を考えて選書し、一冊一冊に絵本のポイントなどを書いたメッセージも添えている。「施設の本ではなく、『自分だけのもの』という喜びを感じてほしい」と吉田さん。今年は357冊を贈った。自費出版の絵本「ごちゅうもんは」は、1冊につき150円を「BOOKサンタ」へ寄付している。
テーマに合わせて選んだ絵本を読み合う朗読会「タケシマモフの声に出して読んでみる会」も行っている。「タケシマ文庫」(=熊本市中央区坪井)との共催で、毎月第1月曜に「COFFEE BAR AA(ダブルエー)」(熊本市北区麻生田)で開催。吉田さんは「朗読後には感想を言うのではなく、1分間沈黙し、自分の中にストーリーを落とし込んで、じっくりとかみしめてもらっている。私自身も楽しませてもらっている」と話す。
吉田さんは「コロナ禍で、家で過ごす時間が多くなった今だからこそ、本との出会いを楽しんでほしい。これからも絵本を通して、子どもたちの笑顔が増えて、子育て支援になっていけるような活動を続けていきたい」と意気込みを見せる。