熊本市中心部の古い町家が残る新町・古町地区の料理谷邸「商工クラブ」(熊本市中央区西阿弥陀寺町)が大規模改修を経て6月23日、オープンした。
この建物は、江戸時代に肥後細川藩の料理人を代々務めてきた由緒ある「料理谷家」の邸宅。明治以降、同所で「商工クラブ」として料亭、宴会場、結婚式場、旅館等を営んできたが、2016(平成28)年の熊本地震により大きな被害を受け、休業していた。歴史的にも価値が高い建物であることから熊本県の支援もあり、今年に入って改修を始め、新しい「商工クラブ」としてオープンを迎えた。
「謎めかしい」をコンセプトに掲げた「商工クラブ」の1階には飲食店2店舗と、イベントや物販に利用できる「席貸」スペース、茶室を設けた。2階にはインバウンド需要も見越した宿泊施設の開業を予定している。
熊本市内でさまざまな建物のリノベーションに携わり、今回のプロジェクトのプロデューサーを務める久保貴資さんは「料理谷邸は、時代に合わせてさまざまな食に関する事業を営んできた。今回のプロジェクトでも、その歴史をつないで、食を中心とした新しい商工クラブの姿を表現することを目指した」と話す。
周辺では古い町家を改修した店やゲストハウスも見られる。地域の姿が徐々に変化していることについては、「古い建物にはその歴史や文化が備わっている。ここは食。それぞれの色を醸し出すことで全体として魅力ある地域になっていけば」と期待を寄せる。