「コミュニティ防災人材育成プログラム MUSUBOU(むすぼう)」が12月16日・17日の2日間、川尻公会堂(熊本市南区川尻4)で開催された。
南区の防災士を対象に、「地域のつながりで備える防災力向上」をテーマに行う南区主催の3段階の育成プログラムでその第1弾。コミュニティー防災とコミュニティー防災人材に必要な能力・活動を説明できるようになるのが目的。
同プログラムは、国立研究開発法人「科学技術振興機構」(埼玉県川口市)が支援する「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」の一環。eラーニング・講義、グループワーク・実習の3段階で構成し、受講者の興味やレベルに応じた学習が可能で、コミュニティーの特性に合わせたプログラムのカスタマイズ、オリジナルアプリの活用による学習履歴の振り返りなどができるのが特徴。
大阪公立大学 都市科学・防災研究センターから三田村宗樹教授、生田英輔教授、吉田大介准教授を講師に招き、初日は講義とワークショップ、2日目は講義とまち歩きを行った。最初に生田さんから「公助には限界がある。だからこそ共助が重要。共助を高めるには、日常が大事であり、持続的に地域がつながりをもって準備することが求められる。そのほか、こんな防災のあり方もあるんだと多様性を認めることも大事にしてほしい」と話したうえで、「コミュニティー防災人材とは、何ができる人材なのか」という問いを投げかけた。参加者からは、防災知識を周りと共有できる、地域とコミュニケーションが取れ、人を巻き込める、防災知識の情報発信ができる、即座に判断ができるなどの意見が。その後、必要なスキルや災害リスクの分析など、班でのグループワークも交えながら意見交換を行った。
2日目は「防災まち歩き」がメインで、午前中は実施に向けての準備。「まち歩き」は地域の自然災害に対する防災力向上への第一歩という認識を前提に、ARアプリ、グーグルマップの活用法などを紹介。午後から実際に会場周辺地域のまち歩きを行った。近隣の川尻小学校で三田村さんは「ただ避難訓練を行うのではなく、子どもたちにさまざまな災害に応じた避難ルートの確保とその教育が大事。小学校も避難所として指定されているが、どういう災害の時に使えるのか、あらかじめ認識と周知をしていく必要がある」と説明。そのほか、二次被害が想定される箇所を、ARアプリを使いながら確認した。最後は持ち寄った情報を班で整理し、全体で振り返りを行った。
参加した川尻校区在住の益本武士さんは「2日間、とても勉強になった。特にまち歩きをした時、ARアプリで水没や火事などをリアルに見ることができたのが良かった。まち歩きをPTA行事など親子で参加する機会でできれば。地域の防災訓練の後に行えば、地域全体の知識の底上げになるのではとも感じた。自分も地域で発行する新聞を担当しているので、そこでも今回の内容を紹介していきたい」と話していた。