「元祖福田流ちょぼやき」(西原村小森、TEL 070-8482-0474)が熊本・西原村にオープンして、2 月8日で2カ月がたつ。
「福田流ちょぼ焼き」は、1951(昭和26)年、熊本駅近くの熊本市二本木で開業。昭和初期に駄菓子屋などで売られていた「一銭焼き」を元に、創業者の福田康守さんとマツコさん夫婦がアレンジして「ちょぼ焼き」として売り出した。「当時はたくわんとちくわとネギを、水で溶いた小麦粉を焼いて包んだ簡単なものだった」とマツコさんは話す。
夫婦二人三脚で営業してきた中で、「子どものいない私たちにとって、お客さまはみんな自分の子どものように思いながら接してきた」とマツコさん。当時は「食べ残したらバツ」と店内に張り紙があり、食べ残した客は顔に墨でヒゲを描かれ、その写真は店内に飾られた。その数は2000枚を超えていたという。
開店から55年を迎えた2006(平成18)年12月、康守さんが80歳になったのを機に「体力の限界」と閉店を決めた。「ありがたいことに、続けてほしいとたくさんの声をもらったが、夫の健康が第一だと思っての決断だった」とマツコさんは振り返る。
常連客の一人だった永瀬善信さんは「大好きな福田さんのちょぼ焼きをなくしたくない」と思い続けてきた。同じ気持ちを持つ周囲の応援を受けて一念発起。「飲食業の経験もなく、一般企業の会社員だった自分にできるのかという不安もあったが、どうしてもこの味を守りたいと思い、マツコさんから直接教えを受けて復活させることができた」と話す。閉店から17年を経てオープンした店は、店名もそのまま譲り受けて「福田流ちょぼやき」とした。
連日「昔の常連客」の来店が後を絶たないという。来店していた客の松尾清隆さんは「看板を見てもしかしてと思い、Uターンして来た。高校時代は週3日ほど通っていた懐かしの味。ちょぼ焼きの復活とマツコさんに会えたことがうれしい」と話す。
永瀬さんは「福田流ちょぼ焼きの味を守りたいのはもちろんだが、マツコさん夫婦が築いてきた人と人とのつながりも大事に受け継いでいきたい」と話す。
営業時間は10時30分~15時30分。月曜・火曜定休。