ラーメン店「おだしと麺 むら平」(熊本市中央区細工町)が熊本・細工町にオープンして、5月14日で1カ月がたった。
店主の嶋村誠次朗さんは、細工町で明治創業のかつおぶし専門店「松魚村平(しょうぎょ むらへい)」を営む。店名の「松魚」は「かつお」のことで、かつお節の切り口が松の木の年輪に見えることから、そう呼ばれるという。
「かつお節屋として飲食店への卸をメインにやってきたが、和食離れが進んでいるように感じていた。長年日本人が愛してきた『だし』のおいしさを広く知ってもらうためにどうすればいいかと考えた結果、国民食ともいわれる『ラーメン』に挑戦することを決めた」と話す。
「普通は『スープ』と呼ばれるが、うちでは『だし』という呼び名にこだわっている」と嶋村さん。昆布は60度で1時間ほど、かつお節は80~90度で数分ほどと、最もうまみが出る状態でだしを引くという。「一般的にだしを『取る』と言うが、だしは『取る』のではなく、うまみを引き出すことから『引く』と言うのも原点を大事にしているところ」と話す。
メニューは、「塩ラーメン」「醤油(しょうゆ)ラーメン」(以上1,000円)のみ。いずれもミニご飯が付く。
注文を受けると、ラーメンの前に、塩やしょうゆなどの味をつけない「だし」をお通しとして提供。「カウンターにはその日使っているかつお節や昆布などの材料を表示し、『だし』のうまみを知ってもらうのが目的」だという。だしを取った後に味付けした昆布をトッピングに使うなど、徹底的に「だし」にこだわる。
カウンターには、その日の朝に削ったかつお節と、かつお節を漬け込んだだしじょうゆを置き、ラーメンやご飯にのせて味わうことができる。
嶋村さんは「かつお節屋がいくら『これはうまい』と言っても、食べてそのおいしさを感じてもらえなければ消費者には届かない。満足度100%超えを目指し、だしのおいしさを知ってもらう入り口となる店になれたら」と意気込む。
営業時間は10時50分~14時30分(なくなり次第終了)。火曜定休。