日本NPO学会第28回研究大会の公開シンポジウム「『わたし』の記憶を『わたしたち』の記録に」が6月6日、東海大学熊本キャンパス(熊本市東区渡鹿9)で行われた。
熊本地震から10年を節目に、記憶の継承と教訓を次世代へつなごうと、学識経験者や行政経験者、メディア関係者、学生が意見交換。会場にはNPO関係者や学生など80人が集まった。
登壇したのは、東海大学文理融合学部准教授の安部美和さん、熊本市中央区まちづくりセンターの中川奈穂子さん、熊本シティエフエム統括部長の桑野恭輔さん、熊本大学工学部公認サークル「熊助組」代表の平川宗磨さん。コーディネーターは、内閣官房「防災庁設置準備アドバイザー会議」専門委員を務める大阪公立大学大学院文学研究科准教授の菅野拓さんが担当した。
安部さんは被災後、大学の立場としてどのような支援を行ってきたかを紹介。中川さんは行政とボランティアの両方の立場で今も活動を続けており、女性の視点からの関わり方についても触れた。桑野さんは臨時災害放送局として地震後に行った放送の内容を振り返り、リスナーのメッセージを通じてどのような情報が求められていたかを紹介した。「熊助組」代表の平川さんは活動の中で、ラジオを知らない子どもに会ってびっくりしたことを紹介。ジェネレーションギャップを解消していく自分たちの世代の役割について話した。
会場からは「地震の記憶を風化させないためには教育が必要では」「防災について考えようとすると身構える。気軽に考えてもらうための方法は」などの質問が寄せられた。菅野さんは、2025年の災害対策基本法改正でボランティアの登録制度や個人情報の取り扱いが変わり、福祉サービスの提供などが加わったことを説明。支援の在り方の変化を意識していく必要性と防災を日頃から気軽に考える視点の大切さを指摘した。
菅野さんは「災害時にさまざまな連携を行うためには、日頃からのコミュニケーションやつながりが大事。災害のためと考えるのではなく、たくさんの人とつながれば楽しいし、自分の財産にもなるといった形で楽しみながら多くの人と関わり合ってもらえれば」と話す。