「伝承の技 久留米絣(がすり) 山村省二とその弟子たち展」が4月4日、熊本県伝統工芸館(中央区千葉城町)で始まった。
200年以上の歴史を持つ久留米絣は、福岡県南部の筑後川流域で作られる綿織物。天然の藍で染めた地色に白いかすり模様が入る技術は国の重要無形文化財に指定されている。
展示会を開いているのは、福岡県八女郡広川にある織元「山藍」4代目の山村省二さん。山村さんは伝統技術を継承するとともに、草木染やグラデーションの技法を用い、オリジナルの久留米絣を製作。米国ワシントン日本大使館ギャラリーでの個展や講演など積極的に海外へ出向いているという。
今回は、久留米絣の新作、伝統工芸展入選の着物や反物のほか、帯や小物、洋服など150点を展示販売する。会場で展示品を紹介する弟子の柿原真木子さんは「一つの作品を仕上げるのに約3カ月かかる。天然染料、天然素材だからこそできる難しい色合い、柄をぜひ見てほしい。夏は涼しく冬は暖かい木綿は、長く使うほどに柔らかくなる素材。会場でその質感を感じてもらえれば」と話す。
山村さんは「ぼかしやグラデーションを使って地色が単調なイメージにならないよう気を配っている。本来の紺がすりをベースに藍色の変化で粋な感じ、明るい感じに仕上げたいといつも考えている。久留米絣が、おしゃれ着としての着物の素材として注目され、草木染との融合など新しい方法に取り組んでいければ」と話す。
開催時間は9時30分~17時30分(最終日は16時30分まで)。今月9日まで。