玉東町の郷土玩具「木葉猿(このはざる)」が発祥から1300年を迎え、記念する展示会「木葉猿 生誕1300年展」が4月28日、熊本県伝統工芸館(熊本市中央区千葉城町、TEL 096-324-4930)で始まった。
展示会場となる工芸館入り口_熊本県伝統工芸館で「木葉猿 生誕1300年展」
木葉猿の伝承は奈良時代の723年元日、春日大明神(現・木葉宇都宮神社)創建の神事での出来事に始まる。祭器を作るために用意した木葉山の赤土から余った土を投げたところ、土が猿に変化して飛び去ったという。
以来、村民の生活が好転したことから「猿は魔が去る」との言い伝えが広まり、素焼きの猿を作って供えるようになった。その後も流行病や厄災の度に無病息災や災難よけ、さらには子孫繁栄の縁起物として長く愛されてきた。
展示会は同館2階の企画・常設展示室で開く。木葉猿窯元に残る最古の木葉猿「母子猿」が「注目」だといい、母が子を抱いた素朴な姿が来場者を出迎える。会場では、歴代の作家の記録や映像約130点を展示する。
独特の風合いと形、異なる一つ一つの表情は、ろくろや型を使わず手で粘土をこねて作る「手びねり」と「燻(いぶ)し」の工程によるもの。発祥から伝統となった現代まで1300年にわたり受け継がれた手仕事の歴史を網羅するという。
木葉猿窯元の永田禮三さんは「伝統を受け継ぐことの責任をずっと感じてきたが、私の代で1300年という節目を迎え、うれしさとともに伝えていくことの責任を感じている。手仕事でつなぎ愛されてきた木葉猿の歴史を、少しでも感じてもらえれば」と話す。永田さんの木葉猿づくりの体験教室も会期中4回、同館1階工房で行う。
展示会を担当する青木優子さんは「1300年も続く郷土玩具は稀有な存在。その木葉猿がここまでそろうのは初めて。今回初公開の作品も多くあるので、その歴史と魅力を楽しんでいただければ」と話す。
開館時間は9時30分~17時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日)。観覧料は、一般=210円、大学生=130 円、高校生以下無料。体験教室は5月14日、6月17日、7月23日、8月19日。体験料1,500円(要事前申し込み)。9月3日まで。