暮らす・働く 学ぶ・知る

熊本県医師会館で「移植医療市民公開講座」 臓器移植を考える

講座に耳を傾ける参加者

講座に耳を傾ける参加者

  • 2

  •  

 「移植医療市民公開講座2024」が10月5日、熊本県医師会館(熊本市中央区花畑町)大ホールで開催された。主催は公益財団法人熊本県移植医療推進財団。

[広告]

 毎年10月は「臓器移植普及推進月間」であることから、その一環で開催。現在日本では約1万6000人が臓器移植を希望し待機しているが、臓器移植を受けられる人はわずか3%。同財団と熊本県が連携し、県民に臓器移植の現状や臓器提供に関する意志表示の大切さを知ってもらい、移植医療に対する理解と協力を促進するのが狙い。今回は「臓器移植、その時家族は」をテーマに、医療関係者、大学生など80人が参加した。

 冒頭で熊本県移植医療推進ネットワーク協議会の猪股裕紀洋会長が「今回はさまざまな視点から講演や学習発表などを用意した。今日の学びが次につながれば」とあいさつした。

 講座は2部で構成。1部は「承諾から移植までの流れ」について、熊本県臓器移植コーディネーターの吉田清美さんが紹介。続いて「法的脳死判定と臓器提供~みなさんイメージできますか?~」と題し、熊本医療センター救命救急科部長の櫻井聖大さんが講話。その後、在宅医療の新たな形としての「角膜」について説明があり、県内のアイバンクの現状を熊本県アイバンクコーディネーターの澤田愛さんが紹介した。

 学習講演では熊本県立大学環境共存学部4年の大平彩乃さん、川嵜彩夢さん、唯見友菜さん、宮本侑果さんが「大学生の臓器提供の意思表示の現状」について、アンケート結果を発表。その上で「まずは家族に意思表示を事前にしておく必要がある。そのためには必要な情報に触れる機会を増やすのが大事。効果的に伝わるための普及啓発活動を、まずは学内で行いたい」と話した。

 2部の特別講演では、ドナーファミリーの三浦拓さんが講師を務めた。テーマは「できる限り命を守り、命をつないでいくために」。自身の体験を通し、命をつなぐために何が必要かを分かりやすく紹介した。 最後のQ&Aコーナーでは、熊本赤十字病院移植外科部長の山永成美(腎移植医)さんが全体の進行役を務め、事前に寄せられた質問を紹介。熊本大学小児外科移植外科の竹村裕介さん、岡山県臓器移植コーディネーターの安田和弘さんらが、さまざまな質問に分かりやすく回答した。

 併せて、会場の外では移植医療の理解促進、普及、啓発につながる取り組み「グリーンリボンキャンペーン」について紹介。臓器提供家族の手記が書かれたパネルも展示した。

 熊本県健康福祉部健康局薬務衛生課の濱田真己子さんは「移植医療は昨年度末あたりから、さまざまな課題について全国的に報道されるなど少しずつ社会の目が向きつつある。ただ、どこか遠い医療という認識を持つ人も多いので、少しでも関心を持っていただけるよう取り組んでいきたい」と意欲を見せる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース