熊本市北区主催の「北区防災士ブラッシュアップ研修」が1月21日、北部公民館(熊本市北区鹿子木町)で開催された。
北区の防災士と校区防災連絡会を対象に、双方の連携の機会を設けることで地域の防災対策を強化し、協力体制を構築することを目的に計70人が参加。防災士が自身の住む地域を理解し、得意分野を生かすのが狙い。
冒頭、中川和徳北区長が「1月1日に起きた能登半島地震に関し、本市としても職員を派遣し全力で支援を行っている。それと同時に災害はいつ起こるか分からない、だからこそ備えの大切さを実感した。この研修で防災士としてのスキルアップはもとより、地域との交流の場、顔の見える防災の輪が広がれば」とあいさつ。
研修は、NPO法人「ソナエトコ」理事の高智穂さくらさんを講師に招き4部で構成。1部は「防災士が地域に入ることで考えられる役割」をテーマに講演。防災士の現状について説明した後、地域ではどのような防災の取り組みがあり、防災士にどのようなことを求めるのかについて例を挙げて紹介。防災士と地域の連携の必要性を伝えながら、まず何から始めていくのがいいかなどのアドバイスも行った。
2部は北区総務企画課が作成した「北区防災マイブック」の紹介とその活用法。「災害に備えよう」と思った時に最初に読んでもらいたい本。読み進めるのと同時に巻末に添付されている「パーソナルシート」に書きこむことで、自分に必要な情報の入ったオリジナル防災ブックができることを伝えた。
3部は阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市の職員へのインタビューを基に作成されたカードゲーム形式の防災教材「クロスロード」を実施。さまざまなシチュエーションの中、「自分だったらどう行動するか」「他の人はどう考えるか」などを聞き、災害対応のジレンマを体験するとともに自分以外の人の意見に耳を傾けることの大切さを学ぶ機会となった。
4部は「空き缶を使ったご飯炊き体験」。参加者は4~8人で地域ごとに作った班で、空き缶と牛乳パックを使ったご飯炊きを行った。電気やガスがない中、どうやってご飯を炊くのか。防災イベントなどの一つのコンテンツとして使える内容で、それぞれが悩み工夫しながら取り組んだ。
高智穂さんは「誰かが頑張らなくてはいけないことは大変だし継続も難しい。できる、やってみたい、やりたいという気持ちを普段から伝えることと、まずは一緒に始めてみることが大事」と話した。
参加した山東校区在住の坂本さんは「防災士の資格を取得したが、まだまだ地域で生かしきれていない。今日は知らないことが多いと感じたし、コミュニケーションの大切さを改めて思った。ご飯炊きは大変だったが、特別においしかった。今日学んだことを地域でも広げていきたい」と話していた。