日本の人口50万人以上の都市の中で唯一、水道水の100%を地下水で賄っている熊本市独自の「水検定」の申し込み受け付けが7月1日、始まる。今年はコロナ禍を考慮して、オンラインでも実施する。
2019年に実施の、熊本の水の歴史に関連深い加藤清正公率いる熊本城おもてなし武将隊による「節水市民運動」の様子
熊本の水の歴史はおよそ400年前、熊本城を築いた加藤清正公による治水・利水工事に始まり、2013(平成25)年には白川中流域の市域を超えた地下水保全の取り組みが「国連『生命(いのち)の水』最優秀賞」を受賞。2018(平成30)年8月には加藤家や細川家によって築造された白川流域かんがい用水群が、カナダで開催された国際かんがい排水委員会(ICID)で認定・登録された。2022年4月開催の「第4回アジア・太平洋水サミット」の開催地に熊本が選ばれるなど、熊本の水は世界で高く評価されている。
熊本市の水は、熊本地域に降り注いだ雨の約3分の一が地下水となり、阿蘇外輪山西麓付近から約20年の歳月(大津町、菊陽町からは5~10年)をかけて熊本市内にたどり着く。そのため、ミネラルの数値が市販のミネラルウオーターより高く、バランスよく配合されている。
だが、熊本の水のシンボルである江津湖の湧水量が、地下水かん養域の都市化や減反により1962(昭和37年)の86.4万立法メートル/日と比べるとわずか半分ほどに減少。近年は白川中流域のかん養事業などさまざまな取り組みが功を奏し、水量は回復傾向にあるももの、限りある資源を大切にしようとさまざまな施策を始めた。
熊本市では、7月~8月を「夏季の節水重点期間」とするほか、年間を通して市民総参加で節水に取り組む「節水市民運動」を行っており、1人1日当たりの生活用水使用量を210リットルにすることを目標とし、さまざまなPR活動を実施している。
2008(平成20)年には、地下水保全や熊本の魅力づくりにつなげることを目的に「水検定」を立ち上げた。市民参加型の検定で、今年はコロナ禍を考慮して初めて3級の検定をオンラインでも開催。全30問、70点以上で合格となる。3級認定されると認定証が届くほか、地下水を育む農畜産物などが抽選で当たる。申し込みは7月1日~10月31日。